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執筆者の写真院長 原 則行

痛風・高尿酸血症③治療について

放置すると様々な合併症を発症

高尿酸血症は初期における自覚症状はあまりありませんが、関節腔内等に尿酸塩結晶が析出・沈着し始めます。

痛風発作が一度でも起これば、急性痛風発作期に入ったと考えます。

治療しないまま放置していると、高い確率で痛風発作が再発し、発作の頻度が増したり間隔が短くなったりします。


そして慢性痛風期になると、尿酸塩結晶が関節以外の部位にも析出し、痛風結節、腎障害(痛風腎)、尿路結石などを発症してしまいます。


血管系の疾患(脳血管障害や心疾患)などの危険因子になりうるとの見方もあります。

患者さんの約8割に、何らかの合併症が見られたとの報告もあります。


診断と治療のポイント


治療薬には尿酸の生成を抑制する薬と、尿酸の排泄を促進する薬の2種類があります。


どのような薬を処方するかは、尿酸生成過剰型・尿酸排泄低下型・混合型のいずれに該当するかという、病態分類が重要です。

病態の分類は、下表のように尿中尿酸排泄量(EUA)、尿酸クリアランス(CUA)、およびクレアチニン・クリアランス(Ccr)を測定したデータに基づき行います。


■EUAとCUAによる病型分類

なお薬物で治療を行う場合も、生活習慣改善の取り組みは必要不可欠です。


メタボリックシンドロームと深く関係

特に肥満=メタボリックシンドロームと血清尿酸値とは、正比例の相互関係にあります。

体重を減らすことによって血清尿酸値が低下することも明らかになっています。

  • 甘いもの、スナック菓子をよく食べる

  • アルコール類をよく飲む

  • 食事が不規則で寝る前に夜食を食べることもある

  • 早食いタイプである

  • こってり系の脂っこい料理が好き

  • 外食が多い

  • 野菜や茸、海藻類はあまり食べない


以上で思い当たる点があれば、今日から改善していきたいものです。


コントロール目標は血清尿酸値6.0ml/dl以下

検診結果が異常値であれば早めに受診を

薬物療法が必要と診断された場合も、投与は発作が治まってから、少量から徐々に量を増加していきます。

血清尿酸値を急に下げてしまうと、痛風発作を誘発することがあるからです。


その後はだいたい2~3週間ごとに来院してもらい、血清尿酸値や肝機能などの検査結果と照らし合わせながら、容量を調整していきます。

目標とする6.0ml/dlを切る容量がわかり、維持量が定まった後の通院は2~4カ月に1度程度となります。


検診で血清尿酸値の異常がみつかった場合や通風発作が起きた場合、必ず専門医の指示のもとで検査を行い、診断を受けることが大切です。

正確な値を知るために、改めて血清尿酸値を測定することが重要だからです。


薬物療法の対象とならない患者さんは、生活改善がメインとなり、その後の血清尿酸値の測定は年に一度で十分。つまり「検診で再度、異常値が出たら受診してください」ということになります。


重要なのは、正しく知り、正しく測り、正しい指導や治療を受けることです。

コロナの影響で増えている高尿酸血症

気になることが少しでもあれば、放置しないで専門医にかかってください。

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