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執筆者の写真院長 原 則行

ランニングと半月板損傷

半月板損傷とは

半月板は、右図のように膝関節内にあるC型をした板状の組織で、膝の内側と外側に一対ずつあります。


骨と骨の間に挟まり、衝撃を吸収するクッションの役割と膝関節の位置を安定させる役割を果たしています。


半月板は、加齢に伴いすり減ります。

また体重が加わった状態で、膝をひねったり衝撃が加わったりすることで損傷を起こすことも多くあります。


半月板が損傷すると、疼痛や曲げ伸ばしにひっかかり感を覚えるようになります。

悪化すると、膝に水が溜まる、ロッキング(急に膝が動かなくなる)という状態を起こします。時には、激痛で歩けなくなることもあります。

診断は、医師の診察(圧痛、マクマレーテスト、アプレ―テスト、過伸展テスト)とMRI検査により行われます。

治療法は、症状に応じて保存療法か手術療法を選ぶことになります。


もちろん状態にもよるのですが、半月板はできるだけ温存することが大切です。



これまでに何度もご紹介した通り、ランニングが半月板損傷の直接的な原因になり得ないと思われます。

けれど急なストップやジャンプ、回旋によって半月板を痛める可能性があるでしょう。

また筋力の低下、体重の増加にも注意が必要です。

  • 膝を伸ばし切ると痛い

  • 膝を深く曲げると痛い

  • 膝を屈伸すると痛い など半月板損傷が疑われる痛みを覚えたら、

なるべく膝を動かさず、早期に診断治療を受けることが大切です。



膝の調子が悪い時は練習量を落とすこと


加齢を原因とする半月板損傷など膝の痛みは、月~年単位で調子の良い時期と悪い時期が繰り返されるケースが多く見られます。


膝の調子が悪い時期は、とにかく

  • 練習量を落とす

  • 有酸素運動であれば、水泳や自転車など膝に負担の少ないメニューに変える

  • 筋力トレーニングやストレッチで身体を整えること。

そして何より、早々に整形外科で治療を受けることが重要です。


治療症例をご紹介しましょう。


膝痛で受診した70代の女性ランナーさんは、検査の結果、変形性膝関節症と半月版損傷の所見が確認されました。


軽度であったため、膝関節内へのヒアルロン酸注入の保存治療と同時に、

  • ランニングの時間・距離・速度の提案

  • ランニング後のアイシングとストレッチングの徹底などを指導しランニングを継続。

結果、膝痛は軽減されレースに出走し、フルマラソンを4時間3分で完走されました。


一般的に病院を受診すると、とにかく「走ってはいけない」とドクターストップがかかってしまうように思われがちです。

けれど私たち医師は、やみくもに運動の中断を強いるわけではありません


早期に適切な処置や指導を受けることができれば、ランニングを継続し記録更新を狙うことも可能です。


膝に違和感を覚えたら、ぜひ早めにスポーツに強い整形外科を受診してください。


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