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シーズン初めに多いケガ⑦疲労骨折


疲労骨折は一度ではダメージを与えない程度の軽微な外力・力学的負荷が、骨の同一部位に繰り返し加わることで骨組織が破綻した状態をいいます。

回復が不十分な状況や摂取エネルギー不足の状態で負荷を吸収しきれなくなるため生じます。


好発部位は、近位大腿骨や骨盤、下肢の脛骨や中足骨骨幹部です。

新入学やシーズン当初など、トレーニングの強度や時間が急に変化した時期に発症しやすいのが特徴です。

さらに詳しい情報は、過去記事をご参照ください。



疲労骨折の発症初期では、レントゲン検査で骨折を認めないケースがほとんどです。

超音波検査で骨周囲の組織が腫れているのが確認できる場合もありますが、確実ではありません

発症から3〜4週間後にレントゲンを撮り直して骨折がわかる症例もあります。

症状は概ね歩行痛、走行痛、荷重時痛が挙げられますが、前回とりあげたシンスプリントなど、症状がよく似た他のスポーツ障害との見極めが重要となります。


問診では、

  • 競技の種類や現在のポジション

  • 競技レベルや練習量

  • 練習や大会で使用しているシューズ

などの詳しい情報が診断の鍵となります。

ぜひ、受診される時の参考になさってください。


原因がシンスプリントか疲労骨折かを鑑別した後に治療を開始します。

治療のプライリティは休養です。練習を一旦すべて中止して回復を促します。

休養中は、ストレッチを行ったり関節を安定させるインナーマッスルのトレーニングを行ったりして、復帰後に備えることが重要です。


トレーニングの参考になりそうな動画を下記に紹介します。


完全骨折に至っている場合は金属プレートによる固定など手術療法を採用します。

手術になると治癒までの期間は長期化し、加えて受傷前のレベルまでパフォーマンスを回復させるのにも大変な時間と労力が必要になります。


疲労骨折を始めすべてのスポーツ障害は予防・早期治療・再発防止が要となります。

それらの対策に関する情報は過去記事をご参照ください。



また女性アスリートは月経異常による疲労骨折が以前から問題視されていますが、最近では男性アスリートにおいても低骨密度がみられ、疲労骨折の問題は男女共通で生じていることが明らかとなっています。

一例を挙げますと、箱根駅伝に出場する8大学の男子選手339人(回答者:283人)を対象とした2015年4月~2017年3月までの2年間における疲労骨折既往歴調査では81人(28.6%)が該当し、109件もの疲労骨折の発生が判明しています※1。


ビタミンDは疲労骨折リスクを抑制する可能性が認められています。

またアスリート対象の研究からは、ビタミンDが骨の健康に関与するだけでなく、スポーツパフォーマンスを改善する可能性があることも示唆されています※2。


日常生活での摂取方法は過去記事をご参照ください。



疲労骨折したアスリートが完全に回復し、制約なしに運動できるようになるまでの推定期間は、平均12~13週間という報告※3もあります。


「走りたいのに走れない」「試合に出たいのに出られない」という辛い状況に陥らないためには、痛みや違和感を放置しないこと。

そして日々、食生活や睡眠などリカバリーにも心を配っていただければと思います。





<参考>
※1 初雁晶子,他.大学生男子長距離走選手における疲労骨折発生に関する実態調査.日臨スポーツ医会誌.2018;26(3):390-6.

※2 Erdmann, Jakub, Michał Wiciński, Paweł Szyperski, Sandra Gajewska, Jakub Ohla, and Maciej Słupski. 2023. "Vitamin D Supplementation and Its Impact on Different Types of Bone Fractures" Nutrients 15, no. 1: 103. https://doi.org/10.3390/nu15010103

※3  Miller TL, Jamieson M, Everson S, Siegel C. Expected Time to Return to Athletic Participation After Stress Fracture in Division I Collegiate Athletes. Sports Health. 2018 Jul-Aug;10(4):340-344. doi: 10.1177/1941738117747868. Epub 2017 Dec 14. PMID: 29240544; PMCID: PMC6044125.

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