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骨とビタミンD③不足を補うには

シリーズ3回目はビタミンD不足を補う日常生活での対策をテーマにいたします。


1回目で述べた通り、ビタミンDは骨や歯の正常な成長に欠かせない栄養素です。

2回目で紹介の通り、不足すると骨粗鬆症や骨折リスク、筋力低下や転倒リスクを高める可能性があります。


『日本人の食事摂取基準2020年版』*1では 1日に必要なビタミンD摂取目安は、18歳以上(男女とも)8.5㎍(マイクログラム)とされています。

※前版(2015年版)から2020年版への改定に伴い、1日あたりの目安量が引きあげられました。

※外国では、成人の必要摂取量を1日15 μgと示す論文*2もあります。


一方、実際に摂取している量は『令和元年国民健康・栄養調査報告』*3によると

1日あたりのビタミンD摂取平均値は6.9㎍、中央値は3.4㎍との報告があり、ビタミンD不足が懸念されます。



食べ物でビタミンDを摂る


どの栄養素も、不足を補うには食事から摂るのが一番簡単で理想的です。

下記に多くビタミンDを多く含む食品の例を挙げました。ご参照ください。


陽を浴びてビタミンDを生成する


ビタミンDは陽を浴びることにより体内生成されます。


けれども12月の札幌において陽を浴びることで5.5㎍(『日本人の食事摂取基準2015年版』の推奨値)のビタミンDを得るには、76分の日光浴が必要だという研究報告*4があります。

冬に北海道で一日に必要なビタミンDを日光浴だけで得るのは厳しいと言えます。


また紫外線を過度に浴びすぎると、シミが生じたり、場合によっては日光角化症や皮膚がんなどの原因となったりする懸念もあります。


適度な日光浴と食べ物の二本柱で、ビタミンD補給に努める意識が大切です。



サプリメントでのビタミンD補給は、過剰摂取に要注意

食事や日光浴ではビタミンDが不十分な方は、サプリメントを利用する方法もあります。


ビタミンD強化型のプロテインドリンクやゼリー、バーなど栄養補助食品もおススメです。

これらはカルシウムも同時に摂取でき、健康的な骨の形成が期待できます。スポーツをされていない方、ご高齢者にも積極的にご活用いただければと思います。


サプリメントを利用する際には、過剰摂取にご注意ください。

ビタミンDは脂溶性であるため、過剰分は体外へ排泄されず体内に蓄積されます。

多量のビタミンD摂取を続けると、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害など健康への悪影響が生ずることが知られています。


成人の耐容上限量は100 µg/日*1とされていますので、これを上回ることのないようお気を付けください。



<参考文献>

*1 日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書 厚生労働省

*2 Institute of medicine of the National Academies (2011): Dietary Reference Intakes, Calcium Vitamin D, The National Academies Press.

*3 令和元年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果 厚生労働省

*4 Miyauchi, M., C. Hirai, and H. Nakajima, The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan, Journal of Nutritional Science and Vitaminology, 59, 257-263, 2013.



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