骨粗鬆症と健康寿命の深い関り
平均寿命は生まれてから死ぬまでの間を示し、男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省2016年)です。
一方、健康寿命は日常的に介護の必要なく心身とも健康で暮らせる期間のことで、男性72.14歳、女性74.79歳(厚生労働省2016年)となっています。
問題は、平均寿命と健康寿命の差=日常生活に制限のある「不健康な期間」が、男性8.87年、女性12.35年と長いことです。
健康寿命を阻害する原因の一つに、転倒による骨折が挙げられます。
特に注意したいのが、背骨(椎体)の圧迫骨折や太もものつけ根(大腿骨近位部)の骨折です。治療が長引き身体機能が低下して、そのまま寝たきりになるなど介護が必要になる可能性があるからです。
骨粗鬆症で骨がもろくなると、ささいな転倒で骨折してしまいます。
転倒・骨折がきっかけとなって要介護状態や寝たきりとなり「健康寿命」を短くしてしまわないために、骨粗鬆症への注意は欠かすことができません。
早期発見・早期治療で健やかに
骨に含まれるカルシウムの量(骨量)は、20歳頃にピークに達します。
30代くらいまでは比較的安定に推移した後、40代以降は加齢とともに減少します。
高齢になるほど骨粗鬆症になりやすく、特に閉経後の女性は注意が必要です。
骨量は、X線や超音波などの検査で測定できます。
当クリニックでは骨密度測定装置を備え、最も重篤な骨折が発生する腰椎部、大腿骨部の骨密度を直接計測しています。検査は10分以内、無痛です。
検査の結果、成人の骨量平均値(YAM(ヤム))に対して70%以下の場合、骨粗鬆症と診断されます。
治療は、栄養・運動・薬物療法からなります。
詳しくは過去記事をご参照ください。
薬を継続することで、骨折リスクが低くなります。
ただし骨量が増えた骨折リスクが減ったからといって自己判断で治療を中止せず、治療を継続することがとても重要です。
また、骨粗鬆症を治療する大きな目的の一つは、骨折予防です。
ですので転ばない工夫、
家の中の段差をなくす
足もとに物を置かない
玄関や部屋の入口に灯を付ける、
階段などに手すりを設置する、などの生活環境の対策をしておくと安心でしょう。
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