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こむら返りの科学③予防【栄養ほか編】

今回でシリーズ3回目となる有痛性筋攣縮=こむら返りを科学するでは、強いエビデンスはないものの効果的な報告があるものなどを参考にした、予防法をお伝えします。

前回同様、予防できるかもしれないという可能性の範囲を脱しません。ご理解ください。


筋疲労を生じにくくさせる

「運動前の糖質摂取」


糖質は筋肉を動かす重要なエネルギー源です。

運動前の糖質摂取により持久力が向上することには多くのエビデンスが存在します。

さらにノルウェーの研究者らの報告によると、21名の男性ランナーを対象とする研究の結果として、運動前に糖質を摂取することで疲労困憊までの時間が有意に長くなるデータが確認※1されています。

※1
Effect of Carbohydrate Content in a Pre-event Meal on Endurance Performance-Determining Factors: A Randomized Controlled Crossover-Trial
28 May 2021
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fspor.2021.664270/full

筋の緊張に対して保護的に働くゴルジ腱紡錘の活動性は、筋疲労によって低下します。

こむら返りを起こす一因とされるゴルジ腱紡錘の活動性を低下させないために、筋疲労を生じにくくさせる運動前の炭水化物の摂取は有効といえるでしょう。


運動前の糖質補給にはフルクトースを含む、バナナなど果物類が良いと思います。


筋肉機能への悪影響を防ぐ

「運動中のエネルギー補給」

筋肉の収縮はカルシウムイオンが筋細胞に侵入することで開始されます。

この筋収縮の信号を発するカルシウムイオンの働きは筋グリコーゲンの枯渇により正常に作用しなくなります

その結果、筋紡錘の興奮性が増し、こむら返りへつながります。

筋グリコーゲンの減少ピッチを遅らす方法が、運動中の糖質補給です。


運動時間が1~2.5時間の場合、1時間あたり30~60gの糖質を摂ることが効果的とされています。

消化吸収されやすいゼリータイプの補助食を利用すると、手軽で良いと思います。

可能であれば、何回かに分けこまめに摂取することをおススメします。


筋肉の緊張と弛緩の働きを整える

「マグネシウムの摂取」

カルシウム=骨というイメージが強い方も多いでしょうが、実は前述した通り筋肉の動きにも影響を与えます


カルシウムイオンが細胞内に流れ込むと、筋肉収縮を示します。

細胞からカルシウムイオンが放出されると、筋肉が弛緩するのですが、この時マグネシウムが大量に消費されます。


筋肉機能が正常に働くには、常に細胞内からカルシウムを汲み上げ、血中カルシウム濃度が適正に保たれている必要があります。

その働きを行うマグネシウムが不足すると、こむら返りが起きたり、肩こりや高血圧などになったりする可能性があるのです。


ですから、日常的にマグネシウムを摂取することが大切です。

ナッツや海藻、ゴマ、大豆、バナナなどを食べるようにすると良いでしょう。


競技前のリラックス

リラックスすること、不安を減らすことは、運動ニューロンの興奮性を軽減させる可能性があると思います。


音楽を聴く、丹田呼吸をする、瞑想するなど。自分がリラックスできる方法を見つけ、ぜひ実践してみてください。



次回こむら返りの最終回は、なってしまった時の対処法についてお話したいと思います。

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