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ストレッチ④ダイエット

今回は意外な静的ストレッチの効果について、ダイエットとの関連性を取り上げます。


初めにお伝えしますと、ストレッチのMETs※1は2.3で、ウォーキングや掃除機をかける、洗車(いずれもMETs3)に比べ、消費エネルギー量は大きくありません

※1:MEts(メッツ)とは運動や身体活動の強度の単位。
安静時(静かに座っている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示す。

例えば、体重60kgの男性が30分ストレッチを行った場合の消費エネルギー量は72.4kcal。およそ6枚切りの食パン1/2枚に相当するエネルギー消費となります。


以上からストレッチは、消費エネルギー量の高い運動とはいえません

ですがストレッチによって、痩せやすい身体へ導くことはできるのです。


身体が柔らかいと エネルギー消費量が大きい


静的ストレッチを続けると、身体が柔らかくなります。

柔軟性の高さと運動中のエネルギー消費量に関連性があることは、かなり以前から解明されています。


GWグレイムらによる研究「ウォーキングとジョギングの効率に対する柔軟性の影響」では下記・左図のとおり、同じ速さで走った場合、身体の硬い人(Tight)に比べて身体の柔らかい人(Loose)の方が、エネルギーを多く消費することを明らかにしています。


これはアスリート、特に長距離選手にとっては好ましくないことだといえます。

一方、肥満予防や減量が目的の人にとっては好ましいこと。身体を柔らかくすれば同じ運動でもエネルギーの消費量を増やすことができ、痩せやすくなるからです。


上記・右図のとおり、特に足関節と股関節まわりに注目すると、普通に歩く速さでも身体の柔らかい人(Loose)と硬い人(Tight)の差が大きくなっていることがわかります。

Gleim GW, Stachenfeld NS, Nicholas JA. The influence of flexibility on the economy of walking and jogging. J Orthop Res. 1990 Nov;8(6):814-23. doi: 10.1002/jor.1100080606. PMID: 2213338.

ストレッチで

睡眠の質を高めれば

ダイエット効果が期待できる


また静的ストレッチには、副交感神経の活動を高める=リラックス効果があることや、入眠をスムーズにする効果があることが知られています。


睡眠と肥満リスクの関連性をメタアナリシスで解明した論文では、世界各国634,511人の子どもおよび成人のショートスリーパーの間で一貫して肥満のリスクが増加していることが示されています。

Cappuccio FP, Taggart FM, Kandala NB, et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008;31(5):619‐626.

また2020年J Clin Sleep Medに掲載された論文では、睡眠時間や睡眠の質と食事への意識ついて、睡眠時間が短くかつ睡眠の質が低い生活スタイルが、健康的な食事と規則的な食生活に対する意識の低さと関わることを明らかにしています。

Theorell-Haglöw J, Lemming EW, Michaëlsson K, Elmståhl S, Lind L, Lindberg E. Sleep duration is associated with healthy diet scores and meal patterns: results from the population-based EpiHealth study. J Clin Sleep Med. 2020;16(1):9‐18.

つまり、就寝前に静的ストレッチを行い、スムーズに眠りに入り朝までぐっすり睡眠をとることが肥満のリスクの低減や健康的な食生活の維持につながる可能性があるといえるでしょう。


寒さで筋肉が拘縮しやすい冬の初めの今時期こそ、ストレッチで身体を緩め整えておくことが大切かと思います。


次回も知る人ぞ知るストレッチの効果を取り上げたいと思います。

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