Stopロコモ⑥ロコモと認知症
- 院長 原 則行
- 6月29日
- 読了時間: 2分
骨・関節・筋肉などの運動器の障害のため足腰が弱って、要介護になる危険性の高い状態を示す「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、略称ロコモ)」。
その予防をテーマとするシリーズ最終回は、ロコモと認知症の関連性をご紹介します。

ロコモが進み足腰が弱くなると転倒リスクが高まります。転倒骨折から寝たきりになり、認知症に至る方は少なくありません。
学術的にも、認知機能の低下は運動機能の低下と関連することが報告されています。
大阪泉佐野市が実施したロコモに関する質問票(ロコモ25)に回答した高齢男女3,751人(男性;1,914人,女性;1,837人,平均71.9±5.7歳)を対象とした研究※1では、男女ともにロコモ度が高いほど認知機能低下者の割合が多くなる傾向が認められました。

認知症においては、現在の医学において発症後の状態を改善させることは不可能であるとされています。
けれども軽度認知障害(MCI)の段階でロコトレに取り組むことで、運動機能を改善できることを示したの調査報告※2があります。
ロコトレを1年以上継続した65歳以上の患者さんの開眼片足起立時間を比較した調査では、ロコトレ介入の効果が確認されています。

軽度認知症(MCI)は認知症の前段階として位置づけられており、認知機能に加え運動機能の低下もみられていることが知られています。
ご自身で運動機能の衰えに気づき適切な対応をすることで、ロコモは防げるのです。
またロコモを防ぐことで、要介護や寝たきり、認知症に至る可能性を減らすことは十分に期待できます。
早い段階からロコモ予防に励むことで、認知症予防につなげていただければ幸いです。
ロコモ予防につきましては過去記事をご参照ください。
また当院院長 原則行は、ロコモティブシンドロームの正しい知識と予防意識の啓発のための活動を行なっている日本整形外科学会所属の専門医です。
お近くの専門医につきましては、下記より検索いただきますようお願い申し上げます。
※1 藤田 和樹, 陣内 裕成, 藤井 淳子, 地域高齢者におけるロコモティブシンドロームと認知機能低下の関連, 日本公衆衛生雑誌, 2021, 68 巻
※2 MCIの段階でロコトレによる介入を行うことで運動機能を維持できる https://www.yutokuyakuhin.co.jp/tasuku/files/index/no38.pdf