骨と筋肉Q&A⑨「筋トレ」と「認知機能」


「骨と筋肉Q&A」9回目も、「筋肉」にアプローチ。

最新の研究報告に基づく、筋トレの意外な効果をご紹介します。


Q.筋トレが認知症予防に  効果があるのですか?
A.はい。  国内外の様ざまな研究で  効果が実証されています。

今回は、運動と認知機能の関連を調べた研究報告を取り上げます。


レポート①海外 「筋トレには、世代を問わず認知機能を高める効果がある」ことを示したメタアナリシス


ゲーテ大学のWilke、Giescheらが、20〜70歳代の447名を対象にした12の研究をもとに、筋トレによる作業記憶(working memory)※1や抑制制御(inhibitory control)※2などに対する効果を解析。

「筋トレには、世代を問わず認知機能を高める効果がある」と結論付けた論文を、2019年6月に発表しています。

1
情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念。脳の前頭前野が担っている。会話や読み書き、計算の基礎といった、日常生活や仕事・学習を支える重要な能力で、この強化が仕事の能力や勉強の効率アップにつながるとされる。

※2
目標の達成のために不適切な反応や行動を抑制する能力で、認知プロセスの一つ。一例を挙げると、ダイエットのために大好きなスイーツを控える、など。前頭前皮質の活動と密接に結びついている。


左の図は、抑制制御(inhibitory control)の領域における筋トレあり=RE vs 筋トレなし=NEX の解析結果。

REは、NEXと比較して、抑制制御の改善(SMD:0.73、95%CI:0.21〜1.26、p=0.01)が得られたことを示す。


出典:

ResearchGate(Discover scientific knowledge and stay connected to the world of science) Mathematical Sciences - Science topic 「The acute effects of resistance exercise on cognitive function in healthy adults: a systematic review with multilevel meta-analysis」


レポート②日本 日本においても、運動による認知症予防の効果を検証する研究が多数実施されています。


一例を挙げますと、第54回日本理学療法学術大会(2019年9月)で発表された、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの島田氏による「運動による認知症予防」※3 です。

島田氏のグループは、軽度認知障害を有する高齢者308名を対象に、有酸素運動筋力トレーニング、記憶や計算課題を課した状況下での運動(コグニサイズ)などの複合的な運動プログラムを10か月間、週1回実施

その結果、運動による全般的な認知機能の低下抑制、記憶力の向上や脳萎縮の進行抑制効果を認めたといいます。


※3 出典:CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ]) 運動による認知症予防


以前は指先を動かすなどの作業で脳を活性化できるとされていました。

けれど近年のこれらの研究から、より大きな筋肉を動かすことによる脳への刺激も高い効果が得られることがわかってきました。


太ももなど下半身の太い筋肉を鍛えると、健康や日常生活機能を維持したり、転倒を予防したりできます。

そしてさらに、認知症の予防にもつながるという利点もあるのです。


筋トレが認知機能を高めるメカニズムについては、次回ご紹介いたします。


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