臨床では膝痛で来院された患者さんから「もう歳だから、膝が痛いのは仕方ない」と言われることが多々あります。
確かに加齢を止めることはできませんが、生活を変えることは可能です。
そうした日常生活の改善で、予防や痛みの軽減が期待できます。
今回は、膝にやさしい日常生活での工夫についてご紹介します。
膝を冷やさないようにする
膝が冷えると血流が滞ったり筋肉が硬くなったりして膝関節の動きが悪くなり、膝への負担が大きくなりがちです。
ですから、
女性はスカートではなくスラックス(ズボン)を着用する
寒い場所では、ひざ掛けやサポーター、カイロを利用する
ゆっくり湯船に浸かって入浴する
など、膝を冷やさない、膝を温めることが大切です。
特に寒さが厳しくなるこれからの季節は、十分にご注意ください。
椅子を取り入れた洋式スタイルの生活に
膝関節の屈曲角度が大きくなる正座や横座り、あぐらなどの座り方は、膝に大きな負担がかかります。
できるだけ椅子を使った洋式スタイルの生活へ改善していくのが良いでしょう。
けれど家庭環境によって、椅子やテーブルを置くことが難しい場合があります。
そういう方は、
高さの低い椅子を使う
お尻の下に小さな枕などを入れる
ようにしてください。
座った状態から立ち上がる時にも、膝に負担がかかります。
靴を履いたり脱いだりする時のため玄関に椅子を用意する
布団ではなくベッドにする
和式トイレを洋式トイレに変える
椅子から立ち上がる時はテーブルに手をつけながら行う
階段やお風呂など、上り下り、しゃがむ動作の多い所に手すりを付ける
と安心です。
また長時間、立ちっぱなしでいることも膝に良くありません。
可能であれば、料理を椅子に腰かけてやるのがベター。
洗濯物を畳む時は椅子に座り、テーブルの上で行うようにしましょう。
椅子に腰かけた状態での家事が難しい場合は、区切りの良いところで休憩を入れ椅子に座ると良いと思います。
重い物は持たない、一方の手や肩に負荷をかけないように
重い荷物を持つ際には足腰で踏ん張ることになり、筋肉や関節に負担がかかります。
ですので買い物に出かける時は、ショッピングカートを利用するのが良いでしょう。
さほど重くはなくても肩掛けのカバンやバックを、いつも左右どちらか決まった側の手や肩を使っていると、重心が偏って膝関節の変形が進む原因になります。
左右の重さが均等になるようにして両手で持ったり、ときどき持ち手を変えるように意識しましょう。
肥満には要注意、減量に努めましょう
平坦な道を歩くだけでも、膝には体重の2~3倍の重荷がかかります。
肥満の方は、それだけ膝の負担が大きくなり、
さらに肥満が原因で膝痛が発症
↓
膝痛が原因で歩かなくなり運動不足に
↓
運動不足により肥満が進む
↓
膝痛が悪化する という悪循環に陥りがちです。
この悪循環を断つために必要な食事管理に尽きましては、次回、詳しくご紹介します。
なるべく身体を動かしましょう
先のブログ「筋肉体操のすすめ」の記事でも紹介した通り、運動療法をご自宅でも採用することが大事です。
激しい痛みがある場合は安静状態を保つのが原則ですが、あまりに膝を大事にしすぎると膝は弱くなる一方です。
回復を遅らせ状態を悪くしてしまうことのないよう、身体を動かすようにしましょう。
とはいえ日に日々寒さが増すと同時に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で思うように動けない日々が続いています。
自宅でできる簡単なトレーニングやストレッチなど、短時間でも構いません。
予防・改善できることを、できる時できるだけ実践していってください。
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