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脚抜け⑤対応実例:発症させない工夫

脚に力が入らない、自分の思う通りに脚が動かなくなる「脚抜け」に関する記事の最終回のテーマは、悩ましい症状を出さないための工夫についてです。私がこれまで臨床や文献などから得た情報に基づく対策を紹介します。いずれもあくまで個人的な意見でありますことを、ご理解いただきますようお願い申し上げます。



脚抜けを発症させない工夫① バラエティに富んだ走りを短く区切って行う


これまでの記事で申し上げた通り、脚抜けの原因は現在も完全には解明されていません

ただし大学での研究・調査によれば、特定の運動負荷を長く繰り返すことによる局所的なストレスによって、末梢神経の絞扼に異常か生じ「脚抜け」につながると考察されています。

これを裏付けるかのように「トラックでのペース走で症状が出やすい」との声が多く聞かれます。

この考察を反転させると、特定の運動負荷が局部にかからないようにすれば「脚抜け」は発症しないかもしれない、との推測が成り立ちます。


以上から、

短時間でメニューを区切ったドリルトレーニングやインターバルトレーニングを行う

予兆がしたら即その場で「止まる」「スキップをする」「後ろ向きで走る」


など様ざまな動作にスイッチしながら走るトレーニングが有効かと思われます。



脚抜けを発症させない工夫② 無意識で走れる状態をつくる


また「走行中にネガティブな意識(=発症するのではないか等)をしすぎると症状が現れやすい」という声も多く聞きます。

ランニングはトレイルなど不整形地で行う

●同一のルートではなく変則的かつ多様なルートを確保する

などで無意識で走れるような環境を選んでトレーニングすること、同時にまた自信を持って走ることが大切でしょう。



脚抜けを発症させない工夫③ 筋肉の過緊張をなくす

特定の筋肉を使い同じ動作を繰り返すことで当該の筋肉は常に緊張した状態を強いられます。

この過緊張の状態が長く続くと筋肉の収縮を司る神経系統にエラーが生じる可能性が高まります。ですから神経系統のエラーが出る可能性を低くする対策として、


股関節周辺の筋肉の過度な緊張を、マッサージや鍼灸などで緩める


ことも重要かと思います。


上記のエビデンスを示す論文※1が、2023年4月に英国の鍼灸専門誌で発表されています。関西医療大学の教授が局所性ジストニア※2に対する鍼治療の有効性を説いています。



※1 “Acupuncture Treatment for Dystonia”, Makiko Tani and Toshiaki Suzuki, Acupuncture and Moxibustion - Recent Advances, New Perspectives, and Applications, April 2023

※2 「脚抜け」は「局所性ジストニア」ともいわれます。局所性ジストニアは、筋肉に不随意な緊張異常が起こり、異常な姿勢となったり動作が困難になったりする症状を呈する症候群です。

手探りで集めたこれらの情報が、「脚抜け」の悩みを解消に導くヒントになれば幸いです。

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