「骨と筋肉Q&A」4回目は、「睡眠」が「骨」に与える影響についてご紹介します。
Q.「寝不足が続くと骨が脆くなる」なんて嘘ですよね?
A.いいえ、嘘ではありません。 睡眠時間と骨の丈夫さには、関連性があります。
5時間以下の睡眠は骨に悪い
睡眠と骨に関する興味深い論文が、専門家では定評のあるアメリカの研究フォーラム誌「Journal of Bone and Mineral Research」2019年11月号で、発表されています。
論文の原文タイトルは、
「Short Sleep Is Associated With Low Bone Mineral Density and Osteoporosis in the Women’s Health Initiative.」
女性の健康イニシアティブ(WHI)に参加した閉経後女性1万1084人を対象に、
睡眠の時間および質と骨密度および骨粗鬆症の関連を横断研究で検討したレポートです。
線形回帰モデル解析によると、
1日の平均睡眠時間が7時間のグループに比べると、5時間以下のグループでは
全身、股関節、大腿骨頚部および脊椎の骨密度が、平均0.012g/cm2-0.018g/cm2低いという結果になったそうです。
また 調整後多項回帰モデル解析では、
同じく睡眠時間5時間以下のグループで、
股関節の低骨量および骨粗鬆症オッズが増加(オッズ比1.22、1.63)、
脊椎でも同様にオッズ増加(同1.28)が示されたという研究報告です。
この研究論文のタイトルをさっくり和訳すると、
「短時間の睡眠は、女性の低骨密度と骨粗鬆症に関連する」――ずばり今回の質問に対する回答そのものになります。
ぐっすり眠って骨を丈夫に
疲労回復や美肌づくりに睡眠が大切だということは、よく知られています。
けれど睡眠が骨を丈夫にするイメージはなかった方が、ほとんどかと思います。
けれど「寝る子は育つ」という諺は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ある意味これは真実で、「寝る子は骨も育つ」と言っても、あながち間違いではありません。
睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。
代謝促進や細胞修復、ホルモンバランスの調整など、その働きは多くあります。
骨を強くするのも役割の一つです。
不眠や寝不足が続くと、成長ホルモンが正常に分泌されなくなります。
その結果、骨にも悪い影響があり、骨粗鬆症の危険性も高まってしまうのです。
言いかえれば、骨を健やかに保つためには、ぐっすりたっぷり眠ることが必要だということです。
ぜひ心に留めて実践いただけると、うれしくありがたく思います。
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