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執筆者の写真院長 原 則行

食と整形外科①肥満と関節疾患


9月に入って日に日に陽が短くなり、風は冷たさを増して、北海道内では秋の訪れを感じることが多くなりました。

札幌市の中心に伸びる大通公園では今、オータムフェストが大賑わい。

秋空のもと、実りの秋・食欲の秋の美味や美酒を満喫している方々で日々賑わっています。


そこで今回から数回にわたり、食と整形外科の関りをご紹介したいと思います。


シリーズ1回目のお題は「肥満と関節疾患」です。

去る8月28日、厚生労働省の令和4年(2022)「国民健康・栄養調査」の調査結果が公表されました。

注目ポイントの一つとして、

男性の20歳以上の肥満者(BMI≧25 kg/m2)の割合は31.7%であり、直近10年間で有意に増加した との点が挙げられます。(女性の20歳以上の肥満者の割合は21.0%であり、この10 年間でみると、有意な増減はみられませんでした)。


つまり成人男性の3人に一人弱が肥満に類するという状況です。


肥満が膝痛や腰痛に関わるケースも

変形性膝関節症をはじめとする関節疾患は、肥満による体重負荷によってリスクが増すことが明らかになっています※1。


また体重が5kg増えると人工膝関節置換術が必要となるリスクが大幅に増大し、さらに膝の痛みやこわばりの増加生活の質(QOL)や膝を使う能力の低下が見られたという研究結果が報告されています※2。

※1 Lohmander LS, Gerhardsson de Verdier M, Rollof J, et al: Incidence of severe knee and hip osteoarthritis in relation to different measures of body mass: a population-based prospective cohort study. Ann Rheum Dis, 68: 490-496, 2009.

※2 Anita Wluka, et al: How Even Small Weight Gain Can Increase the Odds of Knee Replacement Surgery :International Congress on Obesity 2022

加齢によって腰部や下肢の関節は摩耗や変性が生じやすくなります。

そのうえ体重負荷が増せば、摩耗や変性がさらに進んでしまう危険が伴います。

体重を適切に維持することは、整形外科の領域においても重要なのです。


太りにくい食生活の実践で肥満を改善


肥満の改善には食生活の見直しが不可欠です。

とはいえ、食事の量を減らしたり、食事をとらかったりという過激なダイエットは、健康面への悪影響から行わないよう願います。


太りにくい食生活の基本は、


  • 適切な量を食べる(食べ過ぎに注意する)

  • よく噛んで食べる

  • ゆっくり味わって食べる

  • バランスよく食べる

  • できるだけ肉より魚、パンより米飯を食べる

  • 野菜や豆、海藻、キノコ類を積極的に食べる

  • 朝食を食べる

  • 夕食はできるだけ就寝3時間以上前に食べ終える

などです。


食べないのではなく、何を、いつ、どのように食べるかを重視いただければと思います。


食べない自己流ダイエットでは、筋肉量が落ち痩せにくくなる可能性が高いです。

また反動で過食をしてしまうなど、リバウンドや摂食障害につながる危険性もあります。


上記の太りにくい食べ方と同時に、

  • まずは今より1日10分多く身体を動かす

ことを心がけ、日々、肥満改善を意識して生活するのが良いかと思います。


焦らず慌てず、細く長く無理なく続けられる食生活や運動を習慣にしましょう。


次回は「痩せと健康リスク」の話題をとりあげます。

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