あくまで一般の方のイメージですが、外反母趾の原因としてまっ先に挙げられるのはハイヒールでしょう。
2019年には、日本の職場で女性が苦痛を伴うヒールの高い靴の着用を義務づけられていることに抗議する#KuToo(クートゥー)という社会運動でも、ハイヒールにスポットが当たりました。
確かに、自分の足に合わない靴、窮屈な靴、小さい靴を履くのは、身体に良くありません。
特定なものを女性だけに強いる風潮に一石を投じた#KuTooの趣旨には、個人的に共感することしきりです。
それはそうとして、ハイヒールは足に悪いか、というと、実はそうとは言い切れない側面があることを、今回はお話したいと思います。
Q.「ハイヒールの方が楽」なんて人がいるんですか?
A.はい。実際いらっしゃいます。
「ハイヒールの方が楽に歩けるんです」
「ヒールのない靴を履き始めたら、足が痛くなったんです」
と申し訳なさそうに打ち明ける患者さんは、実は少なくありません。
長年ハイヒールを愛用している方に、多く見受けられる印象があります。
女性は男性との骨格の違いなどから、足首が内側に曲がり外反の状態(=回内位・下腿外側傾斜)となる傾向が強いです。
その状態を解消する方法としては、踵を足指=つま先よりも高く上げるという方法、つまりハイヒールの靴を履くという方法があります。
これは、つま先立ちになっているのと同じ体勢です。
つま先立ちになると足裏にある足底腱膜が緊張し、踵の骨(踵骨)が前方に引き寄せられ、外反の状態が解消されることになります。
不安定のように思えても、足首が内位・下腿外側傾斜の方にとっては、ハイヒールの方が安定しているのです。
ですので、ヒールの方が楽に歩ける方がいても不思議ではありません。
ただし、サイズ(足長)、ワイズ(足幅)、ボールガース(足幅周)がフィットした靴であることが必須条件となります。
Q.ハイヒールを選ぶ時のポイントは?
A.足が前にすべらないための工夫があると安心です。
ヒールの高い靴は、低い靴に比べ、足が前方にすべりやすくなります。
ですから、足が前へすべらないようにする工夫が欠かせません。
具体的には以下の通りです。
①甲をしっかり押さえるもの
甲が覆われているデザインが良いのですが、実際に甲までカバーするようなハイヒールはあまりありません。
もしあれば、甲の部分をストラップで押さえるタイプが良いでしょう。
ストラップも付いていなければ、シューズバンド(右写真・上)を利用しましょう。均一ショップなので手に入ります。
②ヒールの太いもの
太いヒールであれば、より安定感が得られます。
③靴底カーブが重心と合っているもの
靴底のカーブのポイントが、ご自身の重心線が降りてくる位置と合っていれば、足が前へ移動しないように足を支えてくれる効果が期待できます。
いずれも大切なことは、自分の足や重心などをご自身で正しく把握しておくことです。
自分の足に合った靴を選んで、おしゃれを楽しんでいただければ幸いです。
次回は、靴と足の話題の最終回。子どもの靴選び、子ども・男性・女性の靴のサイズ表記についてお話をします。
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