人間の足、踵骨の下には衝撃吸収機構が備わっています。
ヒールファットパッド(Heel Fat Pad)と呼ばれる脂肪組織です。
コラーゲンでできた袋の中に流動性の脂肪球が入っているパット状の組織で、歩行などで踵にかかる衝撃を和らげる機能を果たしています。
通常は2cmほどの厚み(下図右)があるのですが、いくつかの理由から足裏に踵骨が接するほど薄くなり痛みを発症すること(下図左)があります。
(痛みの直接的な原因は、脛骨神経分枝の内側足底神経踵骨枝の刺激によるものです。)
この状態を有痛性ヒールファットパッド症候群(Painful Heel Fat Pad Syndrome)といいます。
原因の一つは、実際の足幅よりも幅広の靴を履いていることです。
本来の幅の広すぎる靴を履くことで、しだいに足首の関節が斜めに傾きます。
すると脂肪組織が靴幅いっぱいに引き伸ばされ薄くなり、クッション性が喪失します。
「楽だから」と、ゆるい靴を履いていると、踵の痛みにつながる可能性があります。
どうぞご注意ください。
Q.市販の衝撃吸収タイプの中敷きを充てれば良いのでは?
A.効果は一時的なもので、長く続かないようです。
確かに今では均一ショップなどで、ジェルタイプの衝撃吸収用インソールが各種取り揃えられ、手軽に利用できます。
それらを靴に入れることで一時的には痛みが楽になるようですが、痛みが再発するケースがほとんど。どうやら効果は長続きしない様子です。
市販の中敷きは、ご自身に併せて作られたものではありません。 装着することでバランスが悪くなり、新たなトラブルが起こらないとも限らないのです。
前回もお伝えした通り、インソールは制作に先立って専門家による足部アライメントの検査・診断を受けること。
その評価に基づいて処方されたオーダーメイドのものであることが重要です。
Q.痛みをすぐ解消するには?
A.テーピングが効果的です。
踵骨を囲むようにテーピングを施し、脂肪組織を寄せ集めることで痛みが軽減されます。
手軽にできるうえ、施術直後からかなり痛みが軽減されます。
やり方は、下記の動画を参考になさってみてください。
また踵を包みこみ脂肪組織を集めるヒールカップといわれる装具も市販されています。
こちらも使用にあたっては、まず医師や理学療法士などに相談するのが安心です。
予防は踵をしっかりホールドする自分の足幅にあった靴を履くこと、に尽きます。
Comments