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執筆者の写真院長 原 則行

こんな時は整形外科へ⑧杖を使い始める時


「転ばぬ先の杖」という諺の通り、転倒事故を未然に防ぐ有効なツールの一つと言えるでしょう。

杖を使って歩くことで安全性や安心感が高まり、体を動かす機会が増えることにもつながります。

「転びやすくなった」と思われる方は、できるだけ早めに杖を使い始めることをお薦めします。



自分に合った杖を専門家と一緒に選んで

一言で杖といっても、松葉杖、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホーム・クラッチ、多点杖など、さまざまなスタイルの杖があります。


杖先が3本または4本に分岐している多点杖は、一本杖では歩行が不安定な方、筋力低下や麻痺のある方に有効です。

ただし凹凸のある場所での使用は危険になってしまいます。

多々ある中で一体どの杖がご自身に合っているのかは、身体や生活の状況によって異なります


ただしどの杖を選ぶ場合も、適切な長さであることが重要です。

長いと力を加えにくく、短いと体が傾いてしまうからです。


ベストとされているのは、杖を15cmほど前へ接地させた状態で、肘関節が20~30°屈曲できる長さ(イラスト参照)です。

とはいえ、その方の身体の特徴などによって変わることもあります。


右用か左用か、扱いやすく安心できる重さはどれくらいかなども、人それぞれ

ですから杖を選ぶ際には理学療法士や福祉用具専門相談員など、専門家の意見を参考にするのが一番良いと思います。



正しく使うことが重要


続いて、一本杖の基本的な使い方を簡単にご紹介します。

間違って使われていた方も少なくないかと思います。ぜひ、この機会に正していただければ幸いです。


■持ち手について

左右どちらの手で杖を持つかは、「痛い足が左か、右か」で決まります。


持ち手は、痛い足とは反対の手 となります。

つまり右足が痛い方は左手で、左足が痛い方は右手で杖を持つようにします。


杖は持ち手の側に荷重がかかるので、反対側への荷重が軽減します。

これによって、足の痛みを軽くすることができるのです。


痛い足の側の手に持つと思っていた方、それは間違いですので、ぜひ正してください。


■握り方について


支柱にしっかりと体重がのるよう、イラストのAとBのようにグリップ全体を握るのが正しい握り方です。


Cのように一部だけを握ると、不安定になり危険です。



当クリニックでは整形外科医の診察に基づき、リハビリテーション科の理学療法士による歩行の評価、患者さんに合った杖の提案、杖を使った歩行指導などを行っています。


  • 杖を使った方がいいかどうか知りたい方

  • 初めて杖を使う方

  • 杖は使っているけれど今まで歩行指導を受けていない方

など、ぜひご相談ください。


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