期初に多いケガ①肉離れの予防
- 院長 原 則行

- 4月10日
- 読了時間: 3分
更新日:4月26日
4月も初旬が過ぎ、北海道では春を感じるようになりました。
札幌市では例年より早い3月27日正午で積雪が0㎝に。
スポーツ愛好家は、トレーニングなどの活動を本格化していることと思います。
シーズン初めにご注意いただきたいのが、オフシーズンで低下した体力を考慮すること。
運動量や強度を急激に上げてしまうと、身体が適応できずケガのリスクが急増します。
そこで4月から6月にかけたシーズン初め(=期初)に注意が必要なスポーツ障害について、全6回の予定で紹介して参ります。
第1回目の症例は肉離れです。

肉離れは運動など筋肉が収縮している時、正反対の伸ばされる力が加わることによって起こる筋肉の断裂で、神経と筋肉の連携ミスに起因します。
通常、筋肉は脳からの指令が神経を通って伝わることで収縮し、関節が曲がって身体が動作します。この時、収縮する筋肉と拮抗(きっこう)する筋肉は弛緩(しかん)しています。けれど脳からの伝達にエラーが生じることで、本来は緩んでいるべき筋肉が伸縮してしまい、肉離れが生じます。
肉離れは下肢で多く発症し、対策による予防効果も期待できる

肉離れは、筋肉がある部位であればどこでも発症する可能性がありますが、太ももの裏(ハムストリングス)や前(大腿四頭筋)、ふくらはぎ(腓腹筋)など下肢に生じるケースが多いです。
ただし数は少ないですけれど、上肢や腹筋に発症するケースもあります。
肉離れ予防には、
日頃から筋肉の柔軟性を保つ
筋力や持久力を高める
リカバリー(栄養、休息)に努める
などの対策で予防効果を期待できます。
肉離れが最も起きやすい部位とされる太もも裏については、NHE(=ノルディック ハムストリング スエクササイズ)というトレーニングによって、負傷率が最大51%減少するとの研究結果※1があります。
ハムストリングスの肉離れ予防対策となり得るNHEの動画を添えましたので、ご参考いただければ幸いです。
迅速な処置が早期復帰の鍵
現実的には対策に努めていても、肉離れを発症するケースは少なくありません。
発症直前まではすごく調子が良かったのに肉離れになってしまう方もいます。

筋肉の張りや違和感など「何かおかしい」と感じたらすぐ運動を中止し、軽めのストレッチなどで当該部位と別サイドの差(=左右差)をチェックしましょう。
もし当該部位の筋肉を伸ばした際に別サイドとは異なる痛みがあるなら、肉離れの可能性が高いです。
発症直後はご自身でRICE処置(右図を参照)を実施いただくことで、悪化を防げます。
以降24時間はこのRICE処置を継続し入浴や飲酒を避けることが、早期回復につながります。
そしてできるだけ早く整形外科を受診しましょう。
整形外科ではMRIなどの検査によって受傷箇所と重症度を正しく診断。診断結果に基づく最適な治療を行うことで、重症化や長期化を防ぐことが可能です。
スポーツ活動への復帰は状態を見極めて判断しますが、一般的には
軽症で1~2週間
中等症で4~6週間
重症で12週間以上
を要します(ただし個人差があります)。
スポーツ障害に詳しい整形外科医であれば、より短い期間での復帰をめざした治療や指導、再発防止に向けた医療情報も提供できるかと思います。
できるだけ早く専門医に相談し、重症化や再発防止に努めましょう。
私・原則行もその一助になれば幸いです。
次回はできるだけ今月、4月中に「シンスプリントの予防」のご案内を予定しております。
※1 van Dyk N, Behan FP, Whiteley R. Including the Nordic hamstring exercise in injury prevention programmes halves the rate of hamstring injuries: a systematic review and meta-analysis of 8459 athletes. Br J Sports Med. 2019 Nov;53(21):1362-1370. doi: 10.1136/bjsports-2018-100045. Epub 2019 Feb 26. PMID: 30808663.


