脚抜けは、「ぬけぬけ病」や「かっくん病」とも呼ばれるスポーツ障害です。
箱根駅伝や実業団で名を馳せた長距離ランナーが脚抜けを発症し、その活躍に大きなブレーキをかけることになった選手もいます。
けれど原因が明らかではなく確固たる治療法が確立されていないというのが、実情です。
脚抜けという病を知らないランナーや指導者もいるかもしれません。
気温や湿度が快適になり走りやすくなったこの季節、すべての走るアスリートと関係者への問題提起の意味を含めて数回にわたり「脚抜け」の情報を発信して参ります。
走っている最中に片方の脚に力が入らなくなる「脚抜け」
症状は人によって違うようですが、いずれも走っている最中に
股関節まわりの力が入らなくなる
着地した側の脚の力が抜ける
片方の脚が棒のようになる
唐突に極度な疲労感が現れ走りをコントロールできなくなる
膝が抜ける
などが挙げられます。そのため
以前のように速く走れなくなる
骨折や捻挫など故障のリスクが高まる
という悪影響を及ぼす可能性があります。
ただし脚抜けそのものには痛みがなく、X線やMRIの検査では異常が見つかりません。原因がはっきりしないうえスポーツ障害としての認知が不十分なことから、メンタル的な問題として片付けられてしまうケースもあります。
また検査では骨や筋肉に異常がなく、休むように言われるだけなので、受診をやめてしまう選手もいると聞きます。
けれど身体に何らかのトラブルが起きているのは間違いありません。
そのトラブルが、複数の要因に起因するケースもあるかと思います。
まず症状と検査の所見を正しく考察することが、脚抜けの悩ましい問題の解決策を見出す第一歩といえましょう。
専門知識を有する整形外科医の診断をもとに、症状の改善に向けた正しいケアやトレーニングを共に考え実践ていくという姿勢が、何よりも必要といえるのではないでしょうか。
脚抜けは、気持ちの問題だけで済ましてはならないスポーツ障害の一つです。
初期の段階で適切に対応すれば、症状の軽減や早期の競技復帰が可能となり得ます。
一人で悩みを抱え込まず、まずはスポーツ障害に理解や知識のある整形外科医に相談いただければと思います。
次回は現時点で推測される原因と考えられうる予防策について述べたいと思います。
今回の記事の内容とは直接関係ありませんが、このところ更新が滞っておりますことを、お詫び申し上げます。気長にお待ちいただければ幸いです。