COVID-19禍でのスポーツ活動⑤ ワクチン接種の注意点
- 院長 原 則行
- 2022年7月4日
- 読了時間: 3分
ワクチンで防げるのは、「感染」ではなく「重症化」

日本では2022年2月から5~11歳の子供にもワクチン接種が始まり、高齢者などでは現在、4回目のブースター(追加接種)が進んでいます。
ワクチンを接種して免疫がつくまでに1~2週間程度かかります。
免疫がついても、発症予防効果は100%ではありません。
時間経過に伴い、効果は低下するといわれています。
一方ウイルスは絶えず変異を起こしています。
それぞれの変異株に対するワクチンの有効性については、確認が進められています。
大切なことは、ワクチンを接種しても常に感染する可能性はあると認識すること。
ワクチン接種の効果は、重症化を防ぐことだと捉えておく必要があります。
接種後のスポーツ活動について
10代の新型コロナワクチン接種率が高くなるにつれ、頻度は稀ですがスポーツ活動中に起きた事例も見られるようになってきています。
以下の2例は、厚労省が公開している「新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告」から抜粋した事例です。
事例:16336 13歳男性 コミナティ筋注2回目接種 心筋炎
接種翌日に長距離走を行い、接種3日後に発症
事例:16572 12歳女性 コミナティ筋注2回目接種 意識消失・四肢麻痺
接種翌日バスケットボールの練習の際、目の前が暗転し意識消失にて転倒、頭部打撲
「てんかん、不整脈等の可能性も否定できない」と医師が記載
ワクチン接種後の生活について、厚労省のサイトには下記の通り、接種当日や翌日に無理をしないように明記されています。
ワクチンを接種した後は、接種部位の痛みが出たり、倦怠感、発熱、頭痛や関節痛などが生じることがあります。このような症状が出たときのために、できるだけ接種当日や翌日に無理をしないですむように予定を立てておくとよいでしょう。
ワクチンを受けた当日は、激しい運動や過度の飲酒などは控えましょう。
けれど先の事例は、翌日に長距離走やバスケの練習を行っています。
本人はもとより、指導者や保護者の意識に問題があった点は否めないでしょう。
あくまで個人的な意見ですが、少なくとも接種から1週間程度は運動の強度や量を下げる、場合によってはさらに期間を延長して様子を見る必要があると思います。
COVID-19以外のワクチン接種も同様ですし、何がどうあれ体調がすぐれないのであれば運動を自粛することが大前提です。

また試合や大会を控えているなら、その日程を考慮してワクチン接種日を決めることも大切です。
スポーツ活動からは逸脱しますが、大学受験や出張、会議なども同様にすると安心です。
COVID-19禍でのスポーツ活動における考察シリーズは、この5回目をもって終了します。
アスリートや指導者、支援者、観客、スポーツを愛するすべての人が安心して今を楽しめるよう、正しく知り、正しく行う援助となれば幸いです。