COVID-19禍で自粛傾向にあったスポーツ活動が徐々に再開。
前回に引き続きより安全にスポーツ活動を行うための注意点を、再確認して参ります。
今回は屋外スポーツにスポットを当てます。
ゴルフやサイクリング、ジョギング・ランニングなど、屋外での個人での運動は、コロナ禍にあっても実施率が高い傾向にあったそうです。
恐らくはリモートワークなどで運動不足を感じた層が、健康維持を目的として感染リスクの少ない形での運動に取り組んだためであろうと、専門家が推測されています。
蛇足とはなりますが、キャンプや釣り、カヌーなどの少人数(時には一人)で楽しむアウトドアレジャーが、今も大人気とのこと。感染リスクの低い屋外で、身体を動かしリフレッシュできる点が吸引力となったのでしょう。
屋外ではスポーツ時もマスクを外そう
2022年5月下旬、政府はCOVID-19対策の基本的対処方針を変更し、マスクの着用について、屋外では、周りの人との距離がとれなくても会話をほとんど行わない場合、必要はないなどとする考え方を盛り込みました。
けれど実は2020年7月1日に、日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会は共同声明で「新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意」として、「屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません(熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性があり、海外では死亡例もあります)」と呼びかけていました。
以下に共同声明に記された内容の一部を紹介します。
一般的にマスクは、周囲の方への感染予防に寄与するものと考えられます。
けれども運動により呼吸が激しくなり、呼気の量も増えることで、マスクは著しく変形します。加えて走行時など前面からの気流を受ける状態で、気流の影響を受けない歩行時や安静時と同じように機能するかどうかの検討は十分にはなされていません。
一方でマスクを着用した状態での運動について、警告を唱える学術論文もあります。
マスク等の装着は呼吸を制限する。このことから、健康上望ましいとされるやや息が上がる強度の運動の実施においても、困難とする。
American College of Sports Medicine. ACSM’s guidelines for exe rcise testing and prescription: 10th ed. Philadelphia, PA: Wolters Kluwer; 2018.
気温・湿度の高い夏季において、マスク等は呼気からの気化熱および顔面の皮膚血管拡張
による熱放散を妨げる要因となりうる。よって熱中症のリスクも高まる。
McArdle WD. et al.: E ssentials of Exercise Physiology: 5th ed. Philadelphia, PA: Wolters Kluwer; 2015.
以上から、私も屋外でのスポーツ時にはマスクを外すことを推奨します。
屋外での運動時は以下の点にも要注意
下記は前述に加えて、日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会の共同声明で示された提案です。
屋外スポーツ時に参考にしていただきたい点が、集約されています。
広い場所、空いた時間を選ぶ
少人数(できれば一人)で行う
信号待ちなども含め2m以上のソーシャルディスタンスを保つ
ロッカールームや更衣室などでの会話を避ける
使用後のタオルは他人が触れないように気をつける(汗からの感染はないが、鼻や口を拭くことでウイルスが付着する危険性があるため)
紫外線を浴びての高強度・長時間運動後は、一時的に免疫機能が低下することがある。十分な休息や栄養をとり体調管理に努める。
国や自治体が屋外での運動を禁止した場合は、それに従う。
自分や周囲の健康を守るため、また十分なパフォーマンスを発揮できるよう、取り組んで参りましょう。
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