COVID-19感染を防ぎながらスポーツに取り組むためのポイントを探るシリーズ3回目は、屋内にフィールドを絞った話題を取り上げます。
屋内競技は換気が重要
屋内スポーツにおけるCOVID-19集団感染といえば、2022年1月に釧路市で開催されたアジアリーグアイスホッケー競技大会が、記憶に新しいかと思います。
同件では出場チームの選手や関係者、大会関係者や観客ら合計166名もの感染が認められました。
感染した観客の半数以上が、選手ベンチ後方に座っていたとのことです。
<右図 国立感染症研究所 出典> 観客席は間に空席を設けてあり、近距離で観客同士の接触機会は確認されなかった。リンク周囲は選手ベンチ前を除いて保護ガラス透明な壁で囲まれていた。
そもそもアイスリンクは、氷面を管理するため氷上付近の気流を最小限にするように設計されています。
それらの状況もふまえ国立感染症研究所では、感染性がある選手が激しく動き多量の呼気を排した場合に、エアロゾル感染が起こり得ると発表しました。
そしてアイスリンクにおける観客の感染予防として、
リンク内で低層部から十分量の空気を排出する仕組みの確立、
会場内の換気の均一化(遮蔽物高さの均一化)
十分な換気下での扇風機やサーキュレーターの使用による換気改善
が重要であると提言しています。
つまり屋内スポーツで重点を置くべき対策は、換気に尽きるとも言えます。
バスケットボールやバレーボールなどの競技は、窓を開けるなどして積極的に風の通り道を確保すると良いでしょう。
風の影響を受けやすいバドミントンや卓球などの競技は、練習や試合を強制的に区切り、一定の間隔で換気を行うように努めると安心です。
注意したいのが、エアコンでは換気ができないということです。
冷風を吹き出すため勘違いしやすいのですが、エアコンの空調は屋内の空気を循環させているだけです。
エアコン使用中も、窓を開けるなどして換気を心がけましょう。
空気清浄機にはウイルス除去が期待できますが、かなり高性能なものでフィルターの管理も厳密に行う必要があります。空気除菌(消毒)についてはエビデンスはありません。
ウイルスは数千などある程度の数を吸うことで感染するとされています。
屋内の空気を屋外へ排出し、屋外から新鮮な空気を取り込むようにして、空気を澱ませないことが重要です。
換気以外の対策にも取り組んで
また先のアイスホッケー競技大会では、観客席での飲食が許可(飲食時以外はマスク着用)されていたそうです。
またロビーで飲食物が販売・提供が行われていたものの、飲食提供事業者での発症者は確認されていません。
上記から、換気が不十分な環境での「飲食」「声援」「会話」が、感染リスクを高める可能性があるということが推測されます。
屋内スポーツに励む選手は、
更衣室での飲食やおしゃべりを控える
と良いと思います。
また観客や支援者は、
マスクを外す時間を最小限にする
適切なマスク(不織布など機能や素材、付け方など)の着用 を徹底。
激しい運動をしないコーチや監督、審判、記録係は、
N95マスクの着用(事前に適切な訓練を行うことが必要)
十分な効果が期待できる空気清浄機が設置された環境での待機 などの必要性が求められています。
そして全員にワクチンの接種、健康状態の把握と記録などを行っていくことが重要です。