研修会「ジュニア期に起こりやすいケガ」の中でも比較的重きを置いて紹介した「疲労骨折」、今回はその原因と治療について解説します。
■疲労骨折の原因
そもそも骨は組織が破壊(=骨吸収)された後に再構築(=骨形成)されていくという代謝(リモデリング)によって、常に作り替えられている組織です。
通常であれば構成成分は約120日かけて入れ替わります。
けれど骨が再構築するよりも早く吸収されてしまうと、骨形成が不十分な状態に陥り疲労骨折を起こしやすくなります。
原因としては、右の項目が挙げられます。
注目いただきたい2項目、ビタミンD不足と無月経による疲労骨折。これらを防ぐには、選手自身が正しい知識を有することが重要です。過去記事で詳しく紹介していますので、参照いただければ幸いです。
■疲労骨折の治療
治療の基本は骨折部位の休養です。
休養期間は軽度なもので2週~4週間ほどですが、重症度や回復の度合いによってはさらに長くなる可能性があります。
疲労骨折と診断された場合、骨折部位に影響するスポーツ活動は直ちに中止することが重要です。
例えば、
上肢であれば投げたり打ったりする運動、
下肢であれば走ったり跳んだりする運動、
以上はすべてNGとなります。
右の通り運動量を減らしたり、運動強度を軽くしたりしたとしても、患部に負荷が生じる運動はすべて休止すること必要で、結果的には復帰への近道となります。
ただし患部に影響のない運動は可能です。
休養中は体幹部を中心に鍛えるトレーニングや柔軟性を高めるトレーニングなどに取り組むと良いと思います。
復帰は患部の痛みが解消されかつ画像検査などで総合的な判断をしたタイミングで、軽めのトレーニングからスタートします。
復帰の許可がおりたからといって、本格的な練習メニューを開始するのは再発の危険性があります。
1週間に10%ずつ強度や量を上げるようにするのが好ましいです。
また右の通り、ジュニアアスリートの疲労骨折は16歳がピークで、高校に進学したての新入部員に多く診られます。
意欲や才能ある選手を健やかに育成するために、指導者の方々には、中学1年・高校1年の新入部員に関しては上級生とは別メニューを組むようお願い申しあげます。
また選手やそのご家族には、
十分なエネルギー摂取する
炭水化物を意識して摂る
カルシウムの多い食品を積極的に摂る
ビタミンDを意識して摂る
食事を心がけて疲労骨折の予防に努めるようお願い申し上げます。
次回は疲労骨折とシンスプリントの違いについて紹介します。
Comments