「疲労骨折」は「ジュニア期に起こりやすいケガ」の一つですが、痛い部位がほぼ同じで区別がつきにくい疾患に「シンスプリント」があります。
今回は両疾患の違いについて紹介します。
■疲労骨折とシンスプリントは区別が重要
すね(脛骨)が痛くなるスポーツ性の疾患には、疲労骨折とシンスプリントがあります。
シンスプリントは脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、脛骨に付着する骨膜(=骨を覆う膜)に炎症を生じて発症します。
痛みの他に腫れを伴うことも多いです。
シンスプリントに関する詳しい情報は過去記事をご参照ください。
疲労骨折もシンスプリントも発症のピークは、男性が平均18歳、女性が平均16歳となっておりジュニア選手に多いのが特徴です。
ジュニア選手のケガ予防⑦で申した通り、疲労骨折も初期においてはX線では異常を認めません。シンスプリントであればX線・MRIとも異常を認めないため、MRI検査による区別が重要になります。
簡易的な見分け方として、痛む方の脚で片足けんけんが5回以上できるかどうかという方法があります。
激痛で全く跳躍できないorできても1~2回程度の場合は疲労骨折の可能性が高いです。
ただし5回以上跳躍できたとしても、疲労骨折の可能性がゼロではありません。
必ず専門医療機関を受診してください。
■シンスプリントは練習OK、疲労骨折は練習を即中止
シンスプリントの場合、症状が重篤でなければアイスマッサージや下肢ストレッチでケアをしながらの練習が可能です。足底板(インソール)が有効な場合もあります。
けれども疲労骨折であれば練習は即効で完全中止する必要があります。
運動の再開は2~4週の完全休養を経た後、練習量や強度も当初は軽めに抑えます。
完全に元の練習に戻すのは、さらに2~4週間後。きちんと経過観察を行い、再発を防ぐことが肝心です。
以上のように骨折とシンスプリントは対処法が異なるため、区別することが重要です。
ただし両疾患とも共通しているのは、原因の一つに過労が挙げられる点です。
オーバーワークにならないよう練習量に注意し、十分に疲労回復や栄養補給を行うことが発生予防につながります。
また下肢の筋力や柔軟性の向上も予防対策になります。
ウォームアップやクールダウン、睡眠や食事などにも気を付けていただければと思います。
次回は腰の疲労骨折に関する情報を紹介します。
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