院長 原 則行

2021年10月15日3 分

足の健康と靴の関係⑤靴が腰痛を軽減!?

反ると痛い脊柱管狭窄症、かがむと痛い椎間板ヘルニア、かがんでも反っても痛い筋膜性腰痛、腰から下のお尻も痛い梨状筋症候群(坐骨神経痛)など、腰痛の症状を発する疾病は数多くあります。

これら腰痛の治療にあたるのも、整形外科の役割です。

悩ましい痛みの解決策の一つとして、靴やインソールを役立てるケースがあります。

実際、靴やインソールを変え、姿勢が正されたことで痛みが解消された方が多くおられます。

今回は上記をふまえ、腰痛の方の靴選びについてお話したいと思います。

Q.どんな靴がいい?
A.足を固定し、歩行時に身体の揺れを抑える靴です。

腰痛の方に限らず、まずはご自身の

  • 足長(かかとからつま先までの長さ=サイズを選ぶ基準)

  • 足幅(足幅のもっとも広い部分の長さ=ワイズを選ぶ基準1)

  • 足幅周((足幅の周りの寸法の長さ=ワイズを選ぶ基準2)

に合った靴を選ぶことが大前提です。

腰痛の症状が重い方は、歩行時のぐらつきなどわずかな刺激でも痛みが生じます

ですので、重視すべきは紐やベルトで足の甲がしっかり固定されている点です。

また

  1. 踵を包んで安定させ足の横ブレを防ぐ役割を果たす、ヒールカウンター(=靴の踵部分)がしっかりしている

  2. 体重が掛かっても靴が歪まないようにするシャンクがきちんと機能する

以上2点も大切です。

ヒールカウンターとシャンクに関する詳しい話は、こちらの記事にてご確認ください。

Q.ヒールのある靴はダメ?
A.ヒールは高すぎない方が良いでしょう。
 
  けれどダメではありません。

確かに、腰痛症の方にはヒールの低いフラットなシューズを勧めることが多いです。

理由は2つ、

  • 重心が前方に移り、背骨を反らせた好ましくない姿勢になる方が多いから。

  • ピンヒール(細いヒール)など接地面積が狭いと不安定になりがちだから。

です。

けれど実はヒールのある靴の方が正しい姿勢で歩ける方もいるのです。

またヒールが太く接地面積が広ければ、不安定さは解消されます。

上の条件にあてはまる場合、ヒールが高くても問題ないでしょう。

(ヒールのあるシューズに関する話は、後日お話する予定です。)

Q.腰痛予防をうたった市販の中敷きは効果がある?
A.市販品は必ずしも効果があるとは言えません。

靴の中敷きをインソールといい、当院でも痛みなどの症状改善のためにインソールを作り、靴に入れるようお勧めすることがあります。

目的はアーチのサポート、前後左右のバランス調整衝撃吸収など様々。

患者さん一人ひとりの身体の状態や悩みに合ったものを使えば、痛みやストレス、疲労の軽減、姿勢の改善など様々な効果が期待できます

市販品はご自身に合った作りになっているものかどうか、全くわかりません

つまり必ずしも効果があるとは言えないのです。

ご自身に合っていなければ、症状を悪化させる可能性もあります。

インソールの使用にあたっては、まず医師理学療法士などに相談しましょう。

専門家が足のアーチや変形、関節の動きや筋肉の状態を確認し、姿勢や片脚立ち、歩行などの動作を分析・評価した結果に基づき、オーダーするのが安心です。

    1307
    0