院長 原 則行

2022年7月11日3 分

暑さ対策①運動前・外出前の「アイスラリー」のすすめ

身体の内部温度を効率よく下げる「アイスラリー」

ウェザーニュースの発表によると、2022年の7~9月は平年よりやや気温が高く、全国的に暑い夏となるようです。

暑さのピークは7月後半と8月後半と予想されています。

こまめな水分補給十分な休息や栄養エアコンなどによる適切な環境整備、必要に応じたマスクの付け外しなどを心がけ、体調管理にお気をつけください。

とはいえアスリートたちは真夏にも試合や大会があり、練習を休むわけにもいきません。

例えどんなに暑くても、自由にスポーツを楽しみたい方も決して少なくないでしょう。

けれど暑い環境で深部体温が過度に上昇すると、パフォーマンスが落ちるのは必須。

そこで今回は、比較的簡単に実践できる暑さ対策「アイススラリー」を紹介します。

アイスラリーは、細かい氷の粒子が液体に分散したシャーベット状の飲料です。

身体を内部から効率よく冷却する暑さ対策として、世界中のトップアスリートたちが競技の現場で利用しています。

最近では、凍らせて持ち運べるパックが通販やコンビニなどで販売されています。

氷が体内で融ける際に発生する融解熱の作用で、内部温度をスピーディーに下げる効果を発揮します。シャーベット状で、通常の固形状の氷より飲み込みやすい点も大きな特徴です。

研究では、運動前に体重1kg当たり7.5gのアイススラリーを摂取することで、4℃の冷水を飲んだ時と比べて、暑い環境での運動継続時間が10分ほど延長したとの報告があります。

<参考文献>
 
Siegel R, Mate J, Brearley MB, Watson G, Nosaka K, and Laursen PB. Ice slurry ingestion increases core temperature capacity and running time in the heat. Med Sci Sports Exerc. 42(4): 717-725, 2010.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19952832/

またアイススラリーの摂取は内部温度を下げることに加え、主観的な温熱感覚や脳内(前頭葉付近)の温度をも低げるという研究報告もあります。

<参考文献>
 
Onitsuka S, Nakamura D, et al. Ice slurry ingestion reduces human brain temperature
 
measured using non-invasive magnetic resonance spectroscopy. Sci Rep. 8(1): 2757, 2018.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29426888/

散歩や外出、屋外で仕事や活動をする方の

熱中症対策としても「アイスラリー」が有効

暑い環境で活動するにあたって、身体の内部温度を低げておくことは、熱中症予防の観点からも有効です。

ですから外出散歩畑仕事庭仕事スポーツ観戦屋外イベントの運営・参加など炎天下で過ごす全ての方に、アイススラリーの活用をオススメします。

ポイントはアイスラリーを摂取するタイミングです。

なぜなら、内部温度が下がるまである程度、時間を要するためです。

アスリートの方は運動開始前一般の方は外に出る前、いずれも15分以上は前にアイスラリーを摂取すると良いでしょう。

先に述べた通り、アイスラリー=シャーベット状の氷ですので、自宅などで摂取できる場合は、キメ細やかな「かき氷」で十分に効果が期待できます。

参考になれば幸いです。

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