院長 原 則行

2023年6月6日2 分

シーズン初めに多いケガ⑤足底腱膜炎

歩き始め走り始め踵の前あたりが痛くなる方は、足底腱膜炎かもしれません。

40~50代に多い疾病ですが、ジャンプやランニングなどの接地動作が連続する競技選手では若い世代でも発症します。

特に足底腱膜とつながる下肢の筋肉の力や柔軟性が十分に整っていないであろうシーズン初めには、注意が必要なスポーツ障害の一つです。

足底腱膜(右図)は足指の付け根から踵までをつなぐ組織で、足の縦アーチを支える重要な役割を担っています。

この足底腱膜と踵の骨の付着部に、引っ張られる力(牽引)と圧迫される力(衝撃)負荷が繰り返され細かな断裂が生じることで、痛むようになります。

初期においては微小な外傷ですが、症状が進むと骨棘(こっきょく)というトゲ状の骨の形成をX線写真で確認する症例があります。

足底腱膜炎の痛みは、歩いたり走ったりしている間に徐々に軽減します。けれども歩行や走行が長時間になると再び痛みが強くなるという特徴があります。

痛みが変わず続いたり、痛みが増したりする場合は、別な疾病の可能性もあります

なるべく早く整形外科で適切な診断と治療を受けることが重要です。

治療は、主に痛みを和らげる保存的な療法になります。

【薬物療法】

非ステロイド系抗炎症薬剤の外用剤(湿布や塗り薬)や経口剤(飲み薬)

ステロイド剤の局所注射

注射による治療は痛みが強い場合に用いますが、周辺組織に影響する可能性があります。医師から十分な説明を受け、患者さん自身が理解したうえで受けることが重要です。

【理学療法】

足裏のストレッチ

※予防にも有効です。ご自身で取り組まれる方は、下記動画をご参照ください。

足裏や足指のトレーニング

※予防にも有効です。ご自身で取り組まれる方は、動画をご参照ください。

足に合った靴を履く

足底挿板(靴の中敷き、インソール)を装着する

※過去記事をご参照ください。 

上記のような保存的な治療を継続しても症状が重篤化し日常生活に支障をきたす場合、手術療法を検討します。

足底腱膜炎はいったん治まっても再発することが多くあります。

また治療が数年間におよぶ難治性足底腱膜炎の患者さんもおられるやっかいな病気です。

スポーツ選手はもちろん一般の方も、普段あまり意識されない足裏にもぜひ目を向けていただき、日々ストレッチやトレーニングを続け、発症予防や再発防止に努めていただければと思います。

次回はシンスプリントを取り上げます。

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